本計画の依頼主旨は、施主である損保会社が自社専用ビルのモデルをつくりたいということであった。
同社における従来の建物は、外壁タイル貼り、1階が駐車場と無人のエントランス、4階建てまでは昇降手段が階段のみ、社員のリフレッシュの場が設けられていない等、機能本位のもので夕方になればシャッターが閉まり殺風景な外観で、周辺環境に拒否的であり、社員やお客様にとっても暖かみが感じられないものが主でした。
<新しいモデルの方針>
1.1階を事務室として駐車場は建物と分ける
2.コンパクトにまとめながら、ゆとりある使い勝手の良いプラン
3.良質で居住性の高い空間
4.建設から解体に至るまで、省エネルギーな建物
5.環境に配慮した建物
等、機能本位から人に優しい建物へと転換を図ることを設計の方針として計画しました。
<省エネルギー設計の手法>
外部環境をコントロールし、内部環境に取り込めるような開放系の省エネルギービルを計画する為、以下の手法を用いました。
A.外部ルーバーと庇
夏期日射による熱負荷が最も大きい東面に、外部縦ルーバーと庇を設置して熱負荷を削減すると共に開放感を保った。
(理論値で夏至から秋分まで33〜58%の熱負荷削減)
B.外断熱と屋上緑化
熱負荷が最も多い南面と屋根面及び、輻射熱を受ける北面に断熱処理を施し、空調負荷低減と同時に建物の長寿命化を図る。
外壁にはコンクリート躯体に断熱材を貼り、ガルバリウム鋼板にて仕上げ、屋上(4階テラス)は緑化をして遮熱と気化熱による冷却効果を期待。
C.吹抜け(チムニー効果)
外部から入る風により、共用空間の熱気が3階上部の外倒し窓から抜けるよう設計した。
トップライトからの光と合わせて、最小限の設備で快適な微気候空間を生み出す。
D.引き違いサッシと複層ガラス
開閉量を微調整出来る引き違いサッシを採用し、中間期の外気取り入れを在室者が任意で行う。
省エネ仕様としてLow-E複層ガラス(3+A12+6mm)とした。
E.昼光利用
東西開口部廻りの照明器具は明るさセンサーを設置して自動調光されることで、消費電力と熱負荷を低減する。
(※事務所ビルの消費エネルギーは照明で30%を占めてる)
F.階段室の点灯システム
使用していない時は消灯状態となるように、人感センサーと連動した器具を採用した。
G.ヒートポンプ個別空調
1台ずつ制御可能なシステムと、集中コントローラーとタイマーの組み合わせで、集中制御と消し忘れ防止による省エネを図った。

自然エネルギーの利用ダイアグラム
|